高吸水性ポリマー材を使った底面吸水育苗 その2
底面からの毛細管現象を活用する底面吸水育苗システムを組み立てて、
レタス類の育苗を継続実証中です。
ビニールハウスからの移動・撤収しやすさを考えて、OSBボード(加工材コンパネ)をクロスに加工した通称”ペケ台”の上に
エキスパンドメタル(x-42)を設置、保水目的で高吸水性ポリマーポリマーシート(単価@50/(90cmx90cm)を敷設。
13㎜の灌水チューブを設置して、定期的なバルブ制御を遠隔で行っています。
不織布をプール縁に垂らして排水させるモデルは、がっちり排水
してくれるのですが、一時的に底面トレイはプール状になり、セルトレイの
含水量のコントロールが難しい。
僕らの制御ではプール状になる仕組みでは、発藻とレタス苗の徒長に悩みました。
そんな時に、別要件で訪れた奈良県農業研究開発センターのイチゴ苗育苗研究成果で
高吸水性ポリマーを育苗ポットの底面に置くモデル事例を見て、また同時期に文献で
農研機構の福島県農業総合センターのトマト育苗に高吸水ポリマーを育苗用土へ
添加利用される事例と、二つの成果にヒントを得て、仕組の開発を進めてみました。
水分を含みゲル状に膨らんだ高吸収ポリマーシート上にセルトレイの底面孔の
育苗培土が接触する様に設置させます。蒸散や植物苗の吸収により育苗培土の
含水量が減り、陽イオン濃度が保水ゲルより高くなれば、水はポリマーシートから
培土に移動するのだろうと思われます。
今回苗小屋に使っているビニールハウスは、加圧されている農業用水が
きているので、電磁バルブを開閉することで、まんべんなく給水できます。
育苗は、発芽そろい、根鉢形成、そして地上部の適度な成長が成果条件として、
繰り返し実験してきました。
当地(奈良県宇陀市大宇陀)の5月平均気温を考えるとおよそ28日で定植適期に
なるものかと思われるため、培土の窒素成分量は150mg/L前後に調整。
今回、もっとも注力しているテーマが自動灌水による【省力】です。
良質苗(規格適合する根鉢、地上部の均一)の生産と、スタッフへの仕組運用について
指導するポイントの整理も留意している点です。
引き続き、この仕組みでレタス類の育苗を行い、実効性が高い、IoT支援型の
底面吸水育苗体制を実証してゆきたいと思います。